2008年2月16日~17日の日程で、関東4チャプター(群馬チャプター・埼玉チャプター・茨城チャプター・栃木チャプター)合同企画の『関東4チャプター交流会』が、茨城県古河市の「古河市交流センター平成館」で開催されました。
今回は早くも3回目を数え、メイン幹事を群馬チャプターが、サブ幹事は埼玉チャプターが務めました。
当日は4チャプターはもちろんのこと、東京都内や千葉県からも多数のご参加いただき、昨年動員実績の約2倍である40名を超える参加者数を記録しました。以下、2日間のもようをレポートします。
1日目(2008/2/16)
五感をとぎすまして、最高のプレゼンスを得よう!
- 10:05am~0:00pm
- 群馬チャプター会員 青木玲子氏・福嶋美香氏
人間の五感(右脳)に働きかけるエクササイズを通して、参加者それぞれの最高のプレゼンスを得るワークを行いました。
前半はフリーアナウンサーが本職である青木玲子氏。『声』に関するキャリアを極めている青木さんは、声の出し方に5つのポイントがある、と言います。すなわち「長短」「リズム」「強弱」「高低」「間(ま)」がそれ。たとえば「はい」という返事1つとっても、この5つのポイントの声の出し方によってずいぶんと印象が変わる、ということをエクササイズを通して学びました。また、人気タレント・綾小路きみまろのフレーズを取り上げ、声の出し方や間合いで相手を笑わせることができるか、というワークを行いましたが、簡単そうに思えてなかなか相手を笑わせることができず、声によるプレゼンスを極めることがいかに奥深いものか、ということを思い知らされました。
後半の福嶋美香氏は、音楽と人間の思考の関係を取り上げ、人が文章を覚えようとしているときにどんなBGMが流れていると覚えやすいのか、または覚えにくいのか、というテーマで実際にワークを行ってみました。
またアロマセラピストでもある福嶋氏は、香りと人間の思考にも大きな関連性があることを紹介されるとともに、会場に香水の元となるオイルを並べられ、参加者がめいめい好きな香水を作ってみる、というオトクなカリキュラムも行っていただきました。
ランチタイム
- 0:00pm-1:00pm
40名の参加者が一斉にランチタイム。めいめいがよもやま話に花を咲かせ、とっても盛況な雰囲気が伝わってきます。
コーチングセッションのリアルな会話とは
- 1:00pm~2:30pm
- 日本コーチ協会理事 平野圭子氏
本来は「マスターコーチは『コーチング』をしない~コーチのあり方とは? クライアントとの関係とは?~」というテーマで米国のコーチング事情を踏まえた基調講演を行っていただく予定でしたが、平野コーチが担当されているCTPのオンラインクラスで同日朝に展開されたシーンがとても印象に残ったということで、そのもようをシェアするという内容に切り替えて進行しました。
平野氏は以前、俳優・イッセー尾形の演劇に参加する機会があり、その時に「演劇らしくないリアルな会話」に触れたことが印象に残っているとのことです。
考えてみれば、家族同士の会話は言葉のキャッチボールがきちんと行われているわけではなくて、会話そのものが成り立っていないことが多いのですが、しかし家族同士であるだけに安心感があります。それはいわゆるリアリティのある会話でもあります。
でもコーチングセッションの際にコーチから投げかけられるセリフは、よそよそしさ・わざとらしさが感じられ、気になって仕方がない、コーチングの本質が抜け落ちたまま会話が進行しているような気がしてならない、と平野氏。
思うに、コーチングのスキルが先行してしまい、どうかするとスキルを学ぶこと、使うことが目的になってはいないか。コーチが行うのはあくまでも「リアリティのある会話」ではないか、という思いがここ最近強く感じることなのだそうです。
このような平野氏のレクチャーを踏まえて、1組のコーチ役・クライアント役を設定し、「コーチング・セッション」と「リアリティのある会話」をそれぞれ実践するワークを行いました。
はじめの「コーチング・セッション」では、コーチ役の表情が緊張でこわばり、その雰囲気がクライアント役にも伝わって、ぎこちないセッションが続きましたが、次に「リアリティのあるふつうの会話」をしてもらうと、お互いが自然な笑顔で身振り・手振りも織り交ぜた立体的なやりとりが行われました。
コーチング・スキルやコーチング・フローは確かに大切なファクターですが、しかし本来のコーチングはそれらスキルやフローを踏まえた上で「リアルな会話」を実践することが本質である、ということを学びました。
フラッシュ・コーチング
- 2:40pm-5:00pm
- 群馬チャプター会員 安海将広(あづみまさひろ)氏
(国際コーチ連盟マスター認定コーチ/(財)生涯学習開発財団認定マスターコーチ)
東京チャプター会員 野島美子氏
(国際コーチ連盟プロフェッショナル認定コーチ/(財)生涯学習開発財団認定プロフェッショナルコーチ)
ほか、群馬チャプター所属のプロコーチ
コーチングを学んでいるキャリア別に参加者を4つのクライアントグループに分け、一定時間ごとにプロコーチが順番に出入りして、クライアントのテーマに基づいたコーチングを行う、というワークを行いました。複数のプロコーチが出入りすることによって、さまざまな視点がもたらされ、それが左脳の開発にもつながることが期待できるわけで、右脳開発を期待した午前中の「感覚」を主題にしたワークとは対照的な取り組みとなりました。
具体的には、クライアントからそれぞれ自分のテーマを上げてもらい、その中からグループとしてコーチングを受けたいテーマを選択します。そのテーマについてコーチが質問を投げかけたり、自身の体験談を披露したりするとともに、他のクライアントからもコーチに対する質問やテーマを繰り出したクライアントに対する質問、自分の体験談をシェアするなど、いろんな方向からコーチングやディスカッションが展開され、刺激の多いワークとなりました。
懇親会
- 6:00pm-8:00pm
今回は1日目のみの参加者も懇親会まで参加される人がけっこうおられ、にぎやかな宴となりました。
初対面同志はもちろん、ふだん勉強会などで顔を合わせている間柄であっても、アルコールが入って会話もはずみ、より交流が深まりました。実は「これこそ交流会の一番重要なプログラムだ」との声も。
お開きになってからも部屋のテーブルを囲み、夜も更けるのを忘れて、和気あいあいとコーチング談義に花が咲いたことでした。
2日目(2008/2/17)
座禅とコーチング
- 8:45am~11:30am
- 講師:茨城チャプター理事・武藤義弘氏
((財)生涯学習開発財団認定プロフェッショナルコーチ)
第1回目の交流会からカリキュラムとして組み込まれている「座禅とコーチング」。毎回、参加者から好評のため、今回も2日目のメインプログラムとして編成しました。
まずは昨年と同じく「茶礼」から。全員が一直線に並んで座り、お茶菓子をいただきつつお茶を服するわけですが、たとえば全員の座布団の位置が面位置にさせたり、お茶菓子・湯飲みの置く場所も一直線に並ぶように置いたり、全員息を合わせての一挙手一投足など、いわゆる「和」の精神での動作を心がけます。こうすることによって心を落ち着かせ、続く座禅にスムーズに移行できるようになりました。
『座禅』と『コーチング』。並べてみるとまったく異なる単語ですが、「座禅は呼吸法。ゆっくりと息を吐くことで心の中に溜まった『我』も吐き出すことができる。したがってコーチングで大事な『ニュートラルに聞く』というスキルを養うことができる」わけで、深いところでは密接につながりがあるようです。
腹式呼吸の練習を行い、1本の線香が燃え尽きるまでの20分間、腹式呼吸をしながら臍下に手を組み、目を伏せて雑念を払いつつ時の過ぎるのを待ちます。自作の警策を手に取った武藤講師が背後に近寄ると、こちらは合掌しつつ肩に「ピシッ」と警策を受けます。痛みというよりも、覚醒するかのようなすっきりした感覚を受けました。
1呼吸1歩でゆっくりと歩いて周囲を1周する「経行(きんひん)」を間に入れ、都合2回の座禅を行いました。
座禅の後は、昨年と同じく現成公案(げんじょうこうあん/バランスのとれた完全行動)について、武藤講師よりレクチャーを受けました。
振り返りとランチミーティング~第4回の交流会に向けて
- 0:00pm~1:00pm
- 進行:群馬チャプター長・渡辺照子氏
((財)生涯学習開発財団認定プロフェッショナルコーチ)
食堂でランチを摂った後、2階の休憩スペースに移動し、群馬チャプター・渡辺照子コーチのファシリテーションによる今回の交流会の振り返りと来年の第4回に向けての意見出し、アイデア出しを行いました。
「地元の方にももっと来ていただいても良いのでは」「コーチングの勉強会は各所で行われているので、交流会ならではの特長あるカリキュラムが欲しい」「座禅とコーチングは定番プログラムにしても良いのではないか」など、たくさんの意見やアイデアが披露され、来年の期待の大きさをうかがわせるミーティングとなりました。
エピソード
1日目のプログラムで講師をつとめられた安海将広コーチと青木玲子コーチが、めでたくゴールインされることとなりました。実は翌日は挙式を控えられており、交流会に参加することさえはばかられるほどお忙しい中にもかかわらず、講師までかって出てくださいました。
そんな新カップルへの感謝の気持ちと門出を祝い、1日目のプログラム中を利用して、交流会より記念品の贈呈式を行いました。